アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎とは

皮膚の上層に生じる、痒みを伴う慢性的な炎症です。憎悪と軽快を繰り返し、痒みある湿疹を主病変とします。 もともとアレルギーを起こしやすい体質の人や、皮膚のバリア機能が弱い人に多く見られます。

原因

アトピー性皮膚炎の原因には、遺伝やアレルギーと深い関係がある免疫物質を作りやすい体質など「アレルギーを起こしやすい体質」、バリア機能が低下している皮膚状態などの「体質的な要因」、アレルギー症状を起こす物質(アレルゲン)や皮膚への外部刺激など「環境的な要因」があります。

症状

アトピー性皮膚炎の症状としては「痒みがある」「特徴的な湿疹と分布」「繰り返す」という特徴があります。
発疹の色、強さ、部位は様々ですが、常に痒みが伴うため、強い痒みが原因によって「かゆいからかく、かくとさらにかゆくなる」という悪循環を引き起こし、症状を悪化させていきます。

予防法

皮膚を刺激することが分かっている物質(アレルゲン)や、過敏性のある食品との接触を避けることで、発疹を予防することができます。

治療法

根治させる方法はありませんが、外用薬や内服薬で痒みを抑えることはできます。また、粘り強く病気と付き合ううちに、症状が改善し、落ち着いた状態を維持することができるようになります。
治療は通常、自宅で行うことができますが、剥脱性皮膚炎、蜂窩織炎、または疱疹性湿疹がある患者では入院が必要になることもあります。

Q&A

日常生活の中でアトピー性皮膚炎を悪化させるものは何ですか?
食物、ダニ・ハウスダスト等が挙げられます。強い乾燥、汗をかいた後放置すること、シャンプーやせっけん、引っかくなどの刺激、心理的ストレスが皮膚炎を悪化させることがあります。
掃除は必要ですか?
アトピー性皮膚炎では、ダニが皮膚炎の悪化に関係していると考えられています。ダニはほこりの中にいますので、ほこりの除去がこまめに必要です。室内の風通しを良くして、じゅうたんや布製の家具等の設置を出来るだけ避け、ダニの発生しずらい環境にしましょう。
ペットを飼っても良いですか?
犬や猫などのペットの毛がアレルゲンとなることがあります。また、不衛生になりダニが繁殖することで、アトピー性皮膚炎に良くない環境を作ってしまうことがあります。ペットを飼う場合は今まで以上の掃除を心掛ける必要があります。
入浴時に気を付けることは何ですか?

乾燥するところは、石鹸は不要です。脂っこいと感じたところに石鹸を使用します。長湯や熱いお湯もバリアがとれてしまうので、おすすめしません。

皮膚に汗や油、泥などの汚れをついたままにしておくと痒みの原因になりますので、取り除く必要があります。油、泥などの汚れが付着している場合には石鹸が必要ですが、ここで重要な点は、汗だけを除去したい場合は石鹸は不要、ということです。

皮膚の脂は2種類あります。皮膚のバリアの役割があるのは、細胞間脂質、と呼ばれ、皮膚表面を構成する角化細胞から分泌される脂で、角化細胞間を埋めるように配置されます。もう一つは、皮脂、と呼ばれ、脂性肌、肌のテカリに起因し、毛穴に付随している脂腺から分泌される、毛穴から出る脂です。

皮膚のバリア機能に重要な役割を果たしている細胞間脂質は、皮膚に残したい脂です。一方、皮脂は過剰になると脂漏生皮膚炎という皮膚炎の原因になりますので、適度に除去すべき脂です。

そこで、入浴時の石鹸の使用は、皮脂の分泌量によって判断します。年齢、部位、季節などによって、皮脂の分泌量は変わりますので、皮脂を皮膚に感じるかどうか、を考えます。

年齢は、生後3、4ヶ月までと、思春期以降。皮脂の分泌の多い部位を脂漏部位といい、頭皮、顔、脇、前胸部、上背部、陰部。季節は夏に皮脂の分泌が増えます。

大人になっても頭皮などの皮脂の分泌が少ない肌質の人は、皮脂を皮膚に感じたときにだけシャンプーをするようにします。子供も毎日シャンプーする必要はありません。

石鹸不使用にしても、それだけではまだ乾燥してしまうので、入浴後は必ず保湿剤を塗りましょう。

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